溶連菌による
紅斑・猩紅熱
「発熱とともに全身に赤い発疹が出た」「関節が腫れて痛がっている」「顔が真っ赤で口のまわりだけ白い」
そんなときに考えたいのが、溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)による感染症です。
この記事では、溶連菌による発疹や猩紅熱、合併症についてわかりやすく解説します。

溶連菌とは?
溶連菌は、のどに感染して咽頭炎や扁桃炎を起こす細菌です。
子どもに多く、発熱・のどの痛み・発疹が主な症状です。
ウイルスではなく細菌のため、抗生剤で治療が可能です。
溶連菌による紅斑や猩紅熱とは
猩紅熱(しょうこうねつ)は、溶連菌による発疹が全身に出るタイプの感染症です。 |
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のどの痛み・高熱に続いて>全身に細かい赤いブツブツ(紅斑)が出現 |
顔は赤くなるが、口のまわりは白く抜ける(口囲蒼白) |
舌がいちごのように赤くなる(いちご舌) |
膝や肘など関節に腫れや痛みが出ることもある(反応性関節炎) |
診断
のどの症状と発疹から臨床的に猩紅熱を疑う |
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当院では、まず指先からの少量の血液による末梢血検査(白血球数やCRP)を行い、溶連菌感染の可能性があるかを確認します。 |
その後、必要に応じてのどの迅速抗原検査を実施。 |
お子さんの負担を減らす目的です。 |
培養検査は行わず、迅速検査で診断確定としています。 |
治療
抗生剤(ペニシリン系など)を10日間きちんと飲み切る |
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解熱剤・かゆみ止め・のどの痛みへの対処も併用 |
途中で薬をやめると合併症(リウマチ熱・腎炎)につながるため、最後まで内服が大切です |
登園・登校の目安
抗生剤内服後24時間経ち、発熱がなく元気であれば登園可能(園によっては医師の証明が必要) |
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発疹があっても感染力は抗生剤で早期に下がるため、心配しすぎなくてOK |
家庭で気をつけること
兄弟・家族内感染を防ぐため、タオルや食器の共用を避ける |
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のどの症状があるときは他の感染症(アデノ・インフル等)との区別も重要 |
手洗い・うがいの習慣を続ける |
よくあるご質問
Q. 溶連菌の発疹はかゆいですか?
A. かゆみを伴うことがありますが、薬で治まっていきます。
Q. 顔が赤くて口の周りが白いのは?
A. 典型的な「猩紅熱」の所見で、溶連菌が原因の可能性が高いです。。
Q. 膝が腫れるのはなぜ?
A. 溶連菌に対する免疫反応として一時的な関節炎(反応性関節炎)が出ることがあります。
Q. 薬を飲んだらすぐ学校に行ってもいいですか?
A. 内服24時間後かつ元気であれば基本的には登園可能です。
Q. 喉の検査は必ず必要ですか?
A. 当院では、まずCRPなどの血液検査で溶連菌の可能性を見極め、その後必要に応じて迅速検査を行っています。
顔の赤み・高熱・関節痛・全身の発疹などが気になるときは、早めにご相談ください
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。
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