コミュニケーション症
(言語発達の困りごと)
「単語は話すのに会話が続かない」「説明が飛び飛びになる」――
こうしたコミュニケーション症は、言語の理解・表出や会話のやり取りが年齢相当より難しい状態を指します。
早期に気づき、家庭・園・学校が伝わりやすい環境を整えることで、ことばの力と自信が伸びていきます。

主な診断カテゴリー
(DSM-5-TR)
カテゴリー:
言語症(Language Disorder)
語彙・文法・談話構成が年齢基準より乏しい
カテゴリー:
社会的コミュニケーション症(SCD)
話題の切り替え・あいづち・比喩理解など
語用論の困難(ASDとは異なり限定興味や反復行動は目立たない)
カテゴリー:
音声・構音症
発音のゆがみ、聞き取りにくい話し方(構音障害)
カテゴリー:
吃音(流暢性障害)
語・音節の繰り返しや引き伸ばし
年齢別によく見られるサイン
2歳: 単語 50 語未満、二語文が出ない |
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3歳: オウム返しが多い、質問への返答がずれる |
就学前: 友達とのごっこ遊びが続かない、接続詞が使えない |
小学生: 説明が冗長/脱線、発表で要点がまとまらない |
評価の流れ
医師初診: 発達歴・聴覚スクリーニング |
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言語聴覚士(ST)評価: JSDI-3、LC-S、語用論テスト |
認知検査: WISC-V で言語理解/作動記憶プロファイル |
併存症チェック: ASD、ADHD、聴覚処理障害(APD) |
家庭でできる5つのサポート
シンプル+視覚支援: 「靴を履いて → ドアへ行く」の2ステップカード |
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ターンテイキング遊び: カードゲーム・すごろくで会話の順番練習 |
メタ言語化: 「今○○って言ったね」と親が言葉をラベリング |
選択肢質問:「公園と図書館どっちに行く?」で自己決定を促す |
読書共有:絵本を止めて「次にどうなる?」と予想させる |
専門的アプローチ
言語訓練(ST): 語彙拡大プログラム、文法マッピング |
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社会的ストーリー: イラストで場面の暗黙ルールを説明 |
PEERS®︎: 思春期向けソーシャルスキルトレーニング |
ICT 支援: AAC アプリ、視覚シンボルスケジュール |
薬物療法: 併存 ADHD の集中困難を改善し言語訓練効果を高める |
学校での合理的配慮例
質問はYes/No→選択→自由回答の段階式 |
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発表はポスターやスライド活用で言語負荷を軽減< |
グループ活動前に役割カードでタスク明示 |
指示はチャイム後に視覚で再提示 |
赤信号サインと受診目安
3歳で意味のある二語文が出ない |
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5歳で質問への応答が一語のみ |
小学生で会話が一方的・冗長で友人関係に影響 |
授業理解が難しく成績低下 |
当院からのメッセージ
ことばは“伝え合うツール”。
お子さんのペースに合わせ、できた瞬間を一緒に喜ぶことが成長の鍵です。
気になるサインがあれば、いつでもご相談ください。
よくあるご質問
Q. 自宅で動画学習だけで改善する?
A. 反復視聴は語彙習得に役立ちますが、対人対話が不可欠です。
Q. 親の話し方が原因?
A. 遺伝・脳のネットワークが主因で、育て方のせいではありません。
Q. みよし市から通院できますか?
A. もちろん可能です。車で約20分、駐車場完備です。
Q. 大人になれば自然に治る?
A. 語用論の困難は残ることがありますが、早期訓練で社会参加は大きく改善します。
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。
お気軽にご相談ください。