子どもの
偏食・好き嫌い対策
「緑のものは全部 NG」「白いご飯とお菓子だけ」――
偏食は成長期の栄養不足や家族のストレスにつながります。
原因は味覚や感覚過敏だけでなく、発達段階や心理的要因が複合することも。
小児科専門医が医学的視点と家庭でできるステップを解説します。

偏食の主な原因
(バイオ・サイコ・ソーシャル)
生物学的: 味蕾の密度(スーパーテイスター)、鉄欠乏性味覚異常、口腔運動機能 |
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感覚過敏: 触覚・嗅覚過敏(ASD や DCD 児に多い) |
心理的要因: 食事体験での強制・否定的フィードバック → 食事回避 |
発達段階: 2〜4 歳のネオフォビア期(新奇食品拒否)は生理的 |
社会的要因: 時間差家族食、スクリーン視聴食で内的満腹感に気づきにくい |
偏食とARFIDの違い
項目:摂取量
偏食(一般的):
5〜10 品目中心でも成長曲線維持
5〜10 品目中心でも成長曲線維持
ARFID(回避・制限性食物摂取症):
極端制限で体重停滞・栄養欠乏
極端制限で体重停滞・栄養欠乏
項目:心理要因
偏食(一般的):
味・食感の好み
味・食感の好み
ARFID(回避・制限性食物摂取症):
窒息恐怖・感覚過敏・恐怖記憶
窒息恐怖・感覚過敏・恐怖記憶
項目:行動面
偏食(一般的):
好きな食品は十分食べる
好きな食品は十分食べる
ARFID(回避・制限性食物摂取症):
量自体が少ない/食事回避
量自体が少ない/食事回避
家庭でできる5ステップ
安心の食卓環境: テレビオフ・家族一緒に20分座る |
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フードチェーン法: 好きな味に近い食品から段階的に形状・色を変える |
共同調理: 選択肢提示で自己決定「どの野菜を混ぜる?」 |
ポジティブ・プレッシャーゼロ: 完食強制より“一口挑戦”で具体的ほめ |
五感遊び: 触る・匂う→舐める→かじる順で慣らす |
医療的評価・治療の流れ
医師初診: 成長曲線・栄養評価、鉄・亜鉛・ビタミン D 測定 |
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感覚プロファイル: Sensory Profile 2 |
栄養指導: 管理栄養士とメニューカウンセリング |
心理支援: 食事曝露 CBT、家族ベース治療(FBT) |
薬物療法: 重度ARFIDでシプロヘプタジン・リスペリドン等を検討 |
赤信号サインと受診目安
BMI が成長曲線5パーセンタイル未満 |
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1か月で体重−5% 以上 |
全食品のうち3品目以下しか食べない |
貧血や便秘、易疲労が続く |
当院からのメッセージ
偏食は“味覚の個性”+経験。
焦らず小さな成功を積み、家族で食を楽しむ時間を増やしましょう。
栄養や発達が気になる場合はお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 野菜ジュースで代替しても良い?
A. ビタミン補給には◎ですが、食物繊維や咀嚼刺激が不足するため“食べる経験”も必要です。
Q. “一口ルール” は逆効果?
A. 失敗経験が重なると食事不安を強めるため、無理強いよりモデリング(親が美味しそうに食べる)が有効です。
Q. サプリで栄養は足りる?
A. 補助にはなりますが、咀嚼刺激・味覚経験が脳発達に重要です。
Q. みよし市からも利用できますか?
A. はい、みよし市から車で約20分、駐車場完備です。
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。
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