子どもの脳と心の発達段階
「今の年齢で大切にしたいことは?」「イライラは成長のサイン?」――
お子さんの脳(身体的発達)と心(情緒・社会性)の変化を知ると、声かけや環境づくりのヒントが見えてきます。
小児科専門医が医学的知見をもとに、0歳〜18歳を5ステージに分けて解説します。

年齢別
脳と心の発達チャート
ステージ:① 0〜1歳(乳児期)
主な脳の発達:
シナプス爆発的増加・聴覚/視覚路の感受性期
シナプス爆発的増加・聴覚/視覚路の感受性期
心・社会性の発達:
基本的信頼感を形成(愛着)
基本的信頼感を形成(愛着)
親の関わり方ヒント:
抱っこ・アイコンタクト・声色を豊かに
抱っこ・アイコンタクト・声色を豊かに
ステージ:② 1〜3歳(幼児前期)
主な脳の発達:
前頭前野回路が芽生え、模倣学習が活発
前頭前野回路が芽生え、模倣学習が活発
心・社会性の発達:
自我の芽生え・イヤイヤ期
自我の芽生え・イヤイヤ期
親の関わり方ヒント:
安全な選択肢提示で自己決定を尊重
安全な選択肢提示で自己決定を尊重
ステージ:③ 3〜6歳(幼児後期)
主な脳の発達:
運動野・言語野の強化、左右差が顕在化
運動野・言語野の強化、左右差が顕在化
心・社会性の発達:
ごっこ遊びで共感力を獲得
ごっこ遊びで共感力を獲得
親の関わり方ヒント:
役割遊びや質問への対話で想像力を伸ばす
役割遊びや質問への対話で想像力を伸ばす
ステージ:④ 6〜12歳(学童期)
主な脳の発達:
シナプス刈り込み開始、実行機能の土台形成
シナプス刈り込み開始、実行機能の土台形成
心・社会性の発達:
仲間関係と自己効力感
仲間関係と自己効力感
親の関わり方ヒント:
タスク分割・結果より努力を具体的にほめる
タスク分割・結果より努力を具体的にほめる
ステージ:⑤ 12〜18歳(思春期)
主な脳の発達:
報酬系が敏感、前頭前野成熟は 20 代迄続く
報酬系が敏感、前頭前野成熟は 20 代迄続く
心・社会性の発達:
アイデンティティ模索・抽象思考発達
アイデンティティ模索・抽象思考発達
親の関わり方ヒント:
課題の分離で自主性を尊重、対話は事実+感情で
課題の分離で自主性を尊重、対話は事実+感情で
ステージ別アドバイス
乳児期(0〜1歳)
左右抱っこで前庭覚刺激、ベビーマッサージで皮膚覚を豊かに |
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泣きへの応答は 3 秒以内が脳の安心スイッチ |
幼児期前期(1〜3歳)
「自分で!」を尊重し、安全範囲で挑戦機会を提供 |
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否定より肯定的な指示(走らない→歩こうね) |
幼児期後期(3〜6歳)
絵本の「なぜ?」を一緒に考え、論理構造を育てる |
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ごっこ遊びで役割交代を経験させ共感力を強化 |
学童期(6〜12歳)
宿題は 30 分毎に休憩、達成カードでワーキングメモリ支援 |
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チームスポーツで協働と自己調整を体験 |
思春期(12〜18歳)
睡眠 8〜10 時間+デジタルデトックスで前頭前野を守る |
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目標設定は本人主導、親はプロセス質問で伴走 |
赤信号サインと受診の目安
1歳で応答的笑顔・指さしが全くない |
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3歳で二語文が出ない/名前を呼んで振り向かない |
就学後も極端な忘れ物/読み書き困難が続く |
思春期に長期の無気力・自傷念慮がある |
上記サインがみられたら、発達外来での評価をご検討ください。
当院からのメッセージ
脳と心の発達は段階ごとの“伸びしろ”。
親御さんが見守り、適度な挑戦と安心のバランスを取ることで、子どもは自ら成長します。
「少し気になる」段階からお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 早期教育で脳は賢くなる?
A. シナプス形成は経験で促進しますが、睡眠・遊び・愛着が土台です。
Q. イヤイヤ期が長いのは異常?
A. 2〜4 歳で自己主張が強いのは正常範囲。安全枠内の自己決定で徐々に落ち着きます。
Q. 思春期の夜更かしは脳に悪い?
A. 睡眠不足は前頭前野機能低下と情緒不安定を招くため22〜23時就寝を推奨します。
Q. みよし市からも利用できますか?
A. はい、みよし市から車で約20分、駐車場完備です。
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。
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