吃音
(スタッタリング)
「ぼ、ぼ、ぼく…」「——えっと…」とことばが詰まる状態を吃音(スタッタリング)と呼びます。
発症は2〜5歳が最多で、約5%の子どもが経験し、75%は自然に改善しますが、持続・悪化する場合は早期の支援が有効です。
当院では、医師と言語聴覚士(ST)が連携し評価と支援プログラムを提供しています。

吃音のタイプと特徴
タイプ | 具体例 |
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音・音節の繰り返し | 「かかか…傘」 |
音の引き伸ばし | 「かーーさ」 |
ブロック (語頭で無音停止) |
「…傘」 |
症状の前に予期不安や表情のこわばりが伴うことがあります。
原因とリスク因子
脳の言語流暢性ネットワーク(弓状束など)の情報伝達差 |
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遺伝:家族歴があるとリスク 4 倍 |
男児に多い(男女比 3〜4:1) |
言語発達遅滞・速い言語発達双方が影響 |
評価の流れ
医師初診: 発症時期・頻度・状況・家族歴を聴取 |
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言語評価: ST による SSI-4、KiddyCAT、言語発達検査 |
リスク判定: 発症 6 か月以上・3 歳半超・男児・家族歴・ブロック型、2 つ以上で持続リスク高 |
必要に応じ聴覚検査・MRI で器質的要因を除外 |
支援・治療プログラム
間接的アプローチ
(2〜6歳)
親子相互交流療法(PCI): 親がゆっくり・ターンテイクを意識 |
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直接的アプローチ
(学齢期〜)
リドカムプログラム: 肯定的フィードバックとセルフモニタリング |
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キャンパーダウン法: 延長発話で流暢性を確保 |
呼吸法・緩徐発話訓練 |
環境調整: 発話を急かさない、遮らない、アイコンタクトと共感的傾聴 |
薬物療法: 重症例でドパミン調節薬(アリピプラゾール等)を補助的に使用 |
家庭でできるサポート
ゆっくり話すモデル: 親が 1 音 1 拍意識で語りかけ |
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聞き切る姿勢: 最後まで言わせ、焦らず待つ |
成功体験をほめる: 流暢だった場面を具体的にフィードバック |
十分な睡眠とリラックス: 疲労・緊張を減らす |
当院からのメッセージ
吃音は早期の理解と温かな環境で、ことばの自信を育むことができます。
「様子を見るだけで大丈夫かな?」と迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 親の話し方が原因?
A. 原因は神経発達と遺伝が主体で、育て方が直接原因ではありません。
Q. 何歳まで様子を見ても良い?
A. 3 歳半を超えて持続・悪化する場合やブロック型がある場合は早期評価をおすすめします。
Q. 学校への配慮は?
A. 読み上げ順を調整、発表形態の選択肢を増やすなど合理的配慮を依頼します。
Q. みよし市在住でも通院できますか?
A. はい、みよし市から車で約20分、駐車場完備です。
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。
お気軽にご相談ください。