発達性協調運動障害
(DCD)
運動や手先の不器用さが続き、体育や日常動作に困りごとがある――
それは発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder:DCD)かもしれません。
当院では、小児科医と作業療法士(OT)が連携し評価とトレーニングを行います。

DCDの定義と診断基準
(DSM-5-TR)
年齢水準に比べ粗大運動・微細運動の協調が著しく劣る |
---|
日常生活・学業・余暇活動に支障 |
症状は幼少期に発現し、他の神経学的疾患で説明できない |
よく見られるサイン
ジャンプ・縄跳び・ボール投げが苦手 |
---|
ハサミ・箸・ボタン掛けに時間がかかる |
字が読みにくい、行からはみ出す |
転びやすく打撲・捻挫が多い |
医療的評価・治療の流れ
医師初診: 運動歴・成績・動画持参を推奨 |
---|
標準化検査: M-ABC-2(運動評価)、BOT-2、Beery VMI |
併存症の確認: ADHD・ASD・SLD 併存率は約50% |
OT 評価:鉛筆把持・姿勢・視空間認知 |
家庭でできるトレーニング5選
Core Muscle Play: バランスボード・プランクで体幹強化 |
---|
手先遊び: ビーズ通し・レゴで微細運動 |
視覚追跡: 風船バレーで目と体の協調 |
文字ガイドシート: 罫線付テンプレートで書字位置を補助 |
“できた”日記:小さな成功を親子で記録し自己効力感アップ |
専門的アプローチ
CO-OP法: 目標‐計画‐実行‐チェックサイクルで課題指向訓練 |
---|
OT 個別プログラム: 粗大→微細→視覚運動統合の順で強化 |
ICT支援: タイピング学習・ペンタブで書字負荷を軽減 |
薬物療法: 併存ADHDに対する中枢刺激薬が運動計画を補助する場合あり |
学校での合理的配慮例
体育は技術より参加姿勢を評価 |
---|
書写テストは時間延長・タブレット使用OK |
重い荷物はカート使用、昇降口でスロープを活用 |
座席は壁際で姿勢安定+視覚刺激低減 |
赤信号サインと受診目安
3 歳で階段交互昇降が困難 |
---|
小1 で鉛筆を正しく持てず痛がる |
体育・図工を拒否し不登校傾向 |
怪我・転倒が月3 回以上 |
当院からのメッセージ
DCD のお子さんは観察力や論理思考が高い傾向もあります。
体づくりと“できた!”経験を重ね、自信を育みましょう。
悩んだらいつでもご相談ください。
よくあるご質問
Q. 運動神経が悪いだけ?
A. 意識や努力不足ではなく、脳の運動計画ネットワークの成熟が遅れている状態です。
Q. スポーツ教室に入れた方がいい?
A. 失敗体験が続くと自己肯定感が下がるため、まずは OT 個別訓練+成功しやすい運動から始めましょう。
Q. 大人になれば治る?
A. 基本特性は続きますが、戦略と補助具で生活・就労は十分可能です。
Q. みよし市からも利用できますか?
A. はい、みよし市から車で約20分、駐車場完備です。
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。
お気軽にご相談ください。