スタッフブログ

2014年3月5日 水曜日

急性中耳炎は抗生剤なしで自然に治ることもあるけどね


外来でいつもお話していることですが、

急性中耳炎は抗生剤なしでも自然に治ります。

中耳炎の有無より中耳炎を起こしている原因の方が大事です。

 

中耳炎の原因が細菌感染症であって、

その細菌感染症が子どもの免疫力で制御できない場合に

抗生剤のサポートがようやく必要になります。

 

気管支炎や副鼻腔炎でも同じことが言えますが・・・

 

本日はパッツンパッツンの中耳炎の鼓膜所見を紹介

 

まずは比較として正常の鼓膜所見

正常鼓膜

 

本日受診されたお子さん、

「微熱がダラダラとずっと続くんです」

「風邪が全然治らず機嫌が悪いんです」と・・・

 

青っ鼻とノドがゴロゴロするのもあり、

怪しいと思って耳を診ると・・・

耳垢

耳垢ギッシリで鼓膜が見えない・・・

 

まずは耳垢をしっかりとっちゃいまして、その奥を確認すると・・・

破裂寸前の中耳炎

パッツンパッツンの破裂寸前の中耳炎です。

めっちゃ痛そうです。

そりゃ機嫌が悪くなるわけです。

大人なら悲鳴をあげるくらい痛いですね。

 

反対側は・・・

破裂後の鼓膜

すでに破裂した後と思われるヨレヨレの鼓膜でした。

 

「中耳炎で熱が出ていたの?」

 

これはよくある質問ですが、

このような質問に対して僕はズバリ、

「感染症に対する熱です」と言ってしまいます。

「熱も中耳炎も感染症の一症状でしかありません」と話しちゃいます。

そして「この子は肺炎球菌感染症です」と言ってしまいました。

 

なぜ肺炎球菌か?

経験からですね〜

その見極め方をまたそのうち書きます。

 

繰り返しますが、

中耳炎は抗生剤なしで自然に治ることもあります。

しかし、このお子さんの場合は微熱が1週間以上遷延し、

ここ数日は夜泣きもひどかったようで、

お子さん自身の免疫だけでは肺炎球菌感染症を制御できないと判断し、

免疫のサポートとして抗生剤(アモキシシリン)を処方しました。

 

「肺炎球菌ってワクチンがあるじゃないの?」

って思った人もいるかと思いますが、

肺炎球菌って90種類以上あって、

ワクチンが効くのは重症化しやすい13種類だけなんです。

それ以外は子どもで中耳炎や肺炎を起こします。

 

またまた繰り返しますが、

中耳炎は抗生剤なしで自然に治ることもあります。

肺炎だって抗生剤なしで自然に治ることがあります。

中耳炎の有無、肺炎の有無が重要なのではなく、

「何が原因か?」「何の感染症か?」の方が重要です。

中耳炎や肺炎の原因が細菌感染症とわかって、

子どもの免疫だけで太刀打ち出来ないときだけ抗生剤のサポートを受けましょう。

 

子どもの高熱が続く、機嫌が悪いのが続く、

お母さんにとっては本当に心配で不安だと思います。

その心配を真摯に受けとめ、確実な診断と丁寧な説明をして、

少しでも不安を減らせるような診療を心がけていきたいですね。


2014年3月4日 火曜日

食物アレルギー:卵白によるアナフィラキシーショック


経過紹介 ※ご家族の了承を得ています。

・母乳で育ててきて、お母さんは普通に卵を食べて授乳していた。
⇨これは全く問題なし。授乳中の母の食事で卵を除去しても子どもの卵アレルギーを予防できるわけではない。もちろん、妊娠中の卵摂取も問題ありません。

 

・生後3−4ヶ月の時に湿疹がひどかった様子。当院来院時はさほどひどくない感じ。
⇨他院でステロイド軟膏で治療を受けていたよう。詳細は不明。

 

・生後6ヶ月となり離乳食を開始。卵の黄身を開始して問題なさそうだったので、
加熱した卵白を少量あげてみた。お母さんは離乳食本のとおりにあげたそうです。
⇨ここが大きな問題。卵の黄身が大丈夫だったら白身を開始と書いてある離乳食本がまだあるが、ホントにコレはいい加減やめて欲しい。

 

・卵白をあげた直後から口の周囲が赤くなり、その後全身が赤くなってきて当院を受診された。
⇨受診する前にお電話があり、診療時間外だったが、やばそうな雰囲気を感じたので速攻受診して頂いた。コレは直感が当たった。

 

・来院時は目は合うが顔面蒼白で、手足のチアノーゼがあり、機嫌が悪い。
痛み刺激で激しく泣くと顔面が赤くなるが、泣くのをやめると顔面が蒼白となる。

撓骨動脈(手首の動脈)が触れず、モニターで心拍160前後。
アナフィラキシーショックと判断し、すぐさまボスミン(血圧を上げる薬)を太ももに筋肉注射した。他の先生からは異論があるかもしれないが、経験的にステロイドの筋肉注射も行った。これにより、ものの数分で手足のチアノーゼは引いて、30分くらいで顔色も良くなり、機嫌も良くなった。モニターで頻脈だった心拍が110前後に安定、撓骨動脈も触れるようになったことで血圧上昇を確認した。
⇨乳児のアナフィラキシーショックは血圧もすぐに測定できないし、顔色見て疑ったらさっさとボスミン打つべし。ボスミン筋肉注射の副作用なんて心配いらない。

 

このお子さんの問題は卵のあげ方ですね。

お母さんが悪いわけではありません。

離乳食本に書いてあるとおりにやったわけですから。

離乳食本に書いてあることが古いと思うんです。

「卵黄に慣れてから卵白を」みたいな

 

現実生活でゆで卵を食べる機会なんて子どもであまりないし、

離乳食のためだけに少量だけゆで卵を作るのも面倒だし、

ゆで卵の黄身と白身を離乳食でトライさせるなんてどうなんだ?と思うわけです。

 

現実生活ではつなぎや調味料で卵をとる機会の方が断然多いと思います。

ですから、卵をトライするなら卵がつなぎで入っている食品から少しずつトライする方が現実的だと思います。

僕は以前から、卵を離乳食ですすめるときにたまごボーロのかけらから少しずつ試すように指導しています。

具体的な方法はご家族の食生活に合わせて提案させてもらっています。

たまごボーロの砂糖を気にされる方には管理栄養士から自宅でできるレシピを提案します。

 

今回紹介したお子さんは、翌日の再診時にはすっかり落ち着いていました。

良かったです。

ですが、お母さんが自信を無くされてしまわないか心配です。

このようなケースではお母さんへのフォローも大切だと思います。

 

離乳食本やネットに書かれている古い情報をいい加減変えたいんですけど・・・


2014年3月1日 土曜日

花粉症の季節…いよいよ目がかゆくなってきました


今日は午前中の診療が終わって午後から近所の子ども達と外で走り回ったのもあり、

夜から目がめっちゃ痒くなってきました。

鼻もグズグズ…

暖かくなってきてそろそろ花粉症の季節ですね。

 

10代の時は1年中のアレルギー性鼻炎で鼻水によるティッシュの使用量がハンパなく、

地球に優しくない感じでしたが、

今はステロイド点鼻薬を使うようになってティッシュの使用量は断然減り、

地球に優しくなりました。

 

ステロイド点鼻薬を使いはじめる前は抗ヒスタミン薬を飲んでいましたが、

薬がもろに効きやすい自分には、

製薬会社が勧める眠くならない抗ヒスタミン薬でもしっかり眠くなってしまい、

まーアカンと思い、ここ7−8年はステロイド点鼻薬をしっかり使って鼻づまりと鼻水を抑えています。

 

ステロイド点鼻薬は花粉による鼻の粘膜の炎症を抑えて、

鼻の粘膜の腫れをとって鼻づまりや鼻水を抑えるというものです。

 

ステロイドというと副作用をなんとなく心配される方もいるかと思いますが、

ステロイドと言っても、ステロイド点鼻薬は飲み薬と違って副作用はほとんど心配ありません。

 

飲み薬は口から入り腸から吸収されて血液中に入り、

一度肝臓を通って代謝を受けてから心臓に戻り、そこから鼻の粘膜へ届くため、

鼻への道のりが遠回りで、血液中に入るために全身的な副作用は起こりえます。

花粉症の飲み薬は鼻だけでなく脳へも作用するために眠くなるわけです。

 

一方、ステロイドの点鼻薬は鼻の粘膜に直接噴霧するため、

鼻への道のりが近道で、血液中にほとんど移行しない(生体内利用率:1%未満)ので副作用の心配はありません。

もちろん、いくら使っても眠くなりません。

 

海外からですが、

子どものアレルギー性鼻炎の治療は抗ヒスタミン薬なしでステロイド点鼻薬単独でいいんでない?

というデータもあります。

 

以上の理由もあって、僕はこの時期の花粉症はステロイド点鼻薬が第一選択で、

それで治まらない時は抗ヒスタミン薬を飲み、

最終兵器としてレスキューのステロイド内服という戦略でやっています。

まーあまりステロイドの内服はしたくないので、

春の花粉症シーズンのマラソンレースのあとで鼻水が悲惨な状態になったときに飲むくらいですが。

 

今シーズンは間に合いませんが、

今年の6月からスギ花粉の舌下免疫療法:シダトレンが使えるようになります。

スギ花粉によるアレルギーの根本治療にもなりそうなので、

使えるようになったらトライしてみたいですね。

点鼻薬の使用も減らせれば万々歳です。

 

今後、各種花粉症薬を紹介していきたいと思います。

 

明日は三重県桑名市でハーフマラソンを走ります。

またもろ花粉を喰らいそうです。

ステロイド点鼻薬をしっかりやって頑張ってきます。

 

アイキッズクリニック 小児科 会津研二


2014年2月28日 金曜日

感染症:溶連菌感染症


インフルエンザが一時に比べて少し落ち着いてきた中、

最近、溶連菌感染症の方がポツポツとみられます。

 

というわけで、

今日は “喉の痛み” が特徴的な
『溶連菌感染症』のお話です。

 

ようれんきん

 

《主な症状》

・ 発熱(38~39℃)

(3歳以下だと高熱がでない場合もある)

・ 喉の痛み

・ イチゴ舌

・ 発疹

です。

 

《検査》

当院では指先の採血で白血球数を確認してウイルス風邪か細菌感染症かのあたりをつけます。

ウイルス風邪では白血球数が正常か低下しますが、細菌感染症である溶連菌感染症では白血球数が上昇することが多いです。

年齢、熱の程度、喉の発赤の具合、体の発疹の程度から溶連菌を疑われた場合は、確認としてノドの検査をします。

検査は10分で結果がでます。
(※早ければ1分ほどでわかります)

 

 

 

《主な治療方法》

抗生物質が出されます。当院ではパセトシン(アモキシシリン)を10日間処方します。
抗生物質を飲み始めると1日で熱は下がり始め、喉の痛みもやわらいできますが、
症状が消えても【決められた期間は抗生物質を飲み続ける】事が大切です。
※自己判断で飲むのをやめてしまうとリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった続発症(合併症)に繋がることがあります。

 

 

この時期は、
色々な感染症が流行するので、熱が出ると風邪やインフルエンザかなと思う方が多いかもしれませんが、
こういう感染症もあります。

 

溶連菌感染症は、早期に治療をする事が大切です。
【高熱 + 喉の痛み】があったら、この感染症を思い出してみてください。

 

※追加

実際には【咳のない高熱+なんとなくぐったり】といった症状で受診され、この感染症だとわかったケースも多いそうです。


2014年2月23日 日曜日

小児科でよく出されるペリアクチン(シプロヘプタジン)について


 

「アスベリン・ペリアクチン・ムコダイン」

 

風邪のお子さんを連れて病院を受診したことがある方なら何度か見たことがある組み合わせではないでしょうか?

小児科医的には

「アス・ペリ・ムコ」

ですかね?

小児科、耳鼻科、内科、総合病院、どこへ行っても同じ処方。

こどもの風邪薬と言ったらこの処方。

さぞかし評価の高い薬?と一般の人だと思ってしまうかもしれません。

まー正直言って大した薬ではありません。

いや、意外に要注意な薬です。

 

今回はペリアクチンについて

歴史

1958年にアメリカの製薬会社メルクにより合成。

1961年にじんましん等のアレルギー性疾患に対する薬として日本で発売。

1971年に追加効能として「食欲不振・体重減少の改善」が承認….

これもあって小児科でよく処方されるようになった?

僕が10年前に購入した小児科の薬の本にはペリアクチンの食欲増進作用についてまだ書かれていました。

その後、再評価を受けて….

1996年に有用性を示す根拠がないとの理由で「食欲不振・体重減少の改善」の効能が削除されました。

しかし、1971年から1996年までの25年間、四半世紀も「食欲不振・体重減少の改善」の効果も期待されて小児科で使われてきて、それに倣って内科や耳鼻科でも普通に使ってきて、これだけ世に浸透した薬なわけですから、効果がないといきなり言われても、すぐには変わらないわけであって、なんとなくずっと使われているという感じでしょうか?

 

薬理的特徴

強力な抗ヒスタミン作用・抗セロトニン作用がある。

ペリアクチンは第一世代の抗ヒスタミン薬に分類され、脳へ移行しやすく眠くなりやすい。

ペリアクチンの抗セロトニン作用はLSDにも匹敵する。

補足:じんましんや喘息・花粉症等のアレルギーにはヒスタミンという物質が大きく関わっており、そのヒスタミンの作用を抑えるのが抗ヒスタミン薬。脳へ移行しやすい第一世代と、脳へ移行しにくい第二世代があります。ペリアクチンは第一世代抗ヒスタミン薬になります。その他第一世代抗ヒスタミン薬として、ポララミンやアタラックスなどがあります。

 

効能・効果

・じんましんよるかゆみの軽減、花粉症等の鼻水・くしゃみの軽減

僕も小児科医になりたての時はよく使っていまして、確かに子どもに使うとかゆみが引くし、鼻水も止まります。しかし、よく寝ます。1日3回飲もうものなら1日寝がちになってしまう子もいます。僕はここ5年以上は使っていません。

 

副作用

・脳への抗ヒスタミン作用による強烈な眠気
僕も大人量を試しに飲んでみたら仕事が全くできないくらい眠くなりました。
・抗コリン作用による口の渇き
鼻水の分泌は減りますが、唾液の分泌も減ります。抗コリン作用は喘息発作を悪化させるので喘息の方は要注意ですね。

・乳幼児の無呼吸
呼吸が浅くなることがあるので、生後6ヶ月未満は特に使用は控えたほうがいいです。
生後6ヶ月以上でもダウン症の子でこの薬を飲む度に無呼吸になって顔色が悪くなるという子を経験したことがあります。
・痙攣の誘発
第一世代抗ヒスタミン薬全般に言えることですが、痙攣を誘発することがわかっています。てんかん持ちの子は要注意です。

この薬を作ったアメリカでは副作用のこともあり子どもにはすでに使われていません。

 

アイキッズクリニックでは?

当院では使用していません。

僕自身はこどもに第一世代の抗ヒスタミン薬自体を使いません。

・ペリアクチンの無呼吸を何度か経験したこと

・第一世代抗ヒスタミン薬はけいれんを誘発すること

・ペリアクチンの抗セロトニン作用に抵抗があること

以上の理由で第一世代抗ヒスタミン薬を使っていません。

いっぱいいろんなことを経験して成長していく乳幼児期に風邪薬で脳を抑えちゃうのは良くないですね。

僕はじんましんの時、鼻水がひどくて寝つけない時だけ頓服で第二世代抗ヒスタミン薬を飲んでもらうよう指導しています。

鼻水が出ていても食欲があって元気に遊ぶ子は大丈夫です。

こども自身の治る力を伸ばしていきたいですね。

 

当院では、病気のこと・薬のことをご家族にもっと知ってもらうために丁寧な説明をし、

出来る限り薬に頼らないシンプルな治療を心がけています。

 



電話番号
  • アイキッズクリニックLINE

予防接種と検診予約 WEB問診票 一般診療予約はこちらから