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食物アレルギー:経皮感作と経口免疫寛容
最近はテレビでもインターネットでも食物アレルギーの情報が多く出回っています。
アレルギー原因の食べ物を除去しなきゃいけないの?
除去したら食物アレルギーは治るの?
それともちょっとずつ食べさせながら免疫をつけていく経口免疫寛容がいいの?
…と、いろいろ疑問が浮かんできます(?_?)
また、ブログのタイトルを見て、
「経口免疫寛容は聞いたことあるけど、経皮感作ってなに!?」
って思った方もいらっしゃるのでは?
今日は食物アレルギーと経皮感作・経口免疫寛容についてのお話です。
食物アレルギーについて一緒に考えてみましょう!!
◎昔々のイギリスで、、、
(といっても2003年、割と最近)イギリスで、乳幼児にピーナッツオイルが保湿剤として使われていた時代がありました。
湿疹がある、またはアトピー性皮膚炎の重症度が高い場合の3歳以後のピーナッツアレルギーが増加し、ピーナッツアレルギー児を調査することに。
その結果、ピーナッツアレルギー児の 91%が生後6カ月までにピーナッツオイル入り保湿クリームを使用していた事実が判明しました。
(ピーナッツオイル以外の保湿剤の使用では,ピーナッツアレルギーの増加はありませんでした。)
参考文献:Factors Associated with the Development of Peanut Allergy in Childhood(N Engl J Med 2003; 348:977-985)
⇔一方、イスラエルでは、、、!!?
イスラエルでは生後4~5ヵ月からピーナッツを食べ始め、1歳時点では8割がピーナッツを食べているそうです。
しかし、ピーナッツアレルギーは、早くからピーナッツを食べているイスラエルのほうが少ないという驚きの結果が!!!
食べさせないこと=アレルギーの予防ということにはならないんですね(゚o゚*)!
※ ただし乳幼児ではピーナッツをのどに詰まらせてしまう可能性もあるため、飲み込む能力が十分でない年齢(3歳くらいまで)はピーナッツ丸々のつぶ状のものは与えないようにしましょう。
参考文献:Early consumption of peanuts in infancy is associated with a low prevalence of peanut allergy(Journal of Allergy and Clinical Immunology Volume 122, Issue 5, Pages 984–991, November 2008)
◎日本では、、、
2010年、加水分解小麦含有洗顔石鹸使用により生じた小麦アレルギーの症例が多数報告されました。
何年、何十年もの間、小麦を食べてきて何ともなかったの方が、小麦入り石鹸を使っていたら、突然、小麦アレルギーになってしまったのです。
これは、洗顔を繰り返すことで「茶のしずく」に含まれる小麦加水分解物が主に顔面の皮膚から経皮感作され、
経口摂取によって小麦アレルギーを起こすという仕組みです。
顔面中心の湿疹,まぶたの発赤や腫れ,パンやうどんなどの摂取後に運動をすると生じるじんましんやショックなどが主症状です.
◎経皮感作のこと
経皮感作とは、最初に皮膚でアレルゲンとして認識し、全身性のアレルギー反応に移行していくことです。
イギリスのピーナッツオイル問題、日本の「茶のしずく」問題をまとめると、
荒れている肌に異物を接触させ続けた結果、体がピーナッツオイルや小麦を自分の敵だと思い込み、
食べ物として摂取したものに対して過剰な防御反応(アレルギー反応)を起こすということです。
この結果により経皮感作(最初に皮膚でアレルゲンとして認識し、全身性のアレルギー反応の準備が始まる)によるピーナッツアレルギー発症の可能性があるのではないかと考えられるようになりました。
最近では、実際に幼少期に肌の状態を良好に保っている子よりも、
湿疹などを放置している子のほうが食物アレルギーになる確率が高くなることがわかっています。
ステロイド軟膏や保湿剤をうまく利用して肌をいい状態に保つことが食物アレルギーを軽減させられるのではないかと考えられています。
◎経口免疫寛容ってなんだろう?
食物アレルギーの治療といえば、アレルゲン食品の除去が常識でしたが、
ちょっとずつアレルゲン食品を食べさせて治していくという考え方です。
アレルゲン食品をほんのちょっと食べさせ、症状が出なければほんのちょっと増やして食べさせ、を繰り返し、
徐々に食べられる量を増やして最終的にアレルギー反応をなくすというものです。
食べられないものを除去し続けて、一生食べられないままかもしれないよりは
時間はかかるかもしれませんが、ちょっとずつちょっとずつ食べさせていって
最終的にはどんな食品でもたくさん食べてたくましく育ってくれるのが一番ですよね。
注意:アレルギー反応の具合は軽い湿疹で済む子もいれば、重篤な症状が出る場合もあるため、
経口免疫は自分の判断で始めるのではなく、医師に相談してから行ってください。